活用事例①農業



世界人口の大幅な増加や異常気象などの影響により、今後、食糧確保の重要性はますます高まると考えられます。
ビール酵母細胞壁由来の農業資材の活用を通じて、環境保全型農業の構築、農作物収量の増加を促すことにより、持続可能な社会の実現への貢献を目指します。

根張りの充実、成育促進、ストレス耐性・耐病性向上、光合成促進、樹体養分蓄積、土壌改良、土壌還元

「ビール酵母細胞壁由来の農業資材」使用有無比較

通常栽培のイネ(左)と使用したイネ(右)通常栽培のイネ(左)と使用したイネ(右)

通常栽培のイネ(左)と使用したイネ(右)通常栽培のイネ(左)と使用したイネ(右)

通常栽培のリンゴ(左)と使用したリンゴ(右)通常栽培のリンゴ(左)と使用したリンゴ(右)

活用事例

1)農作物の根張りの充実と土壌微生物叢の健全化 栃木県のイチゴ圃場では、「ビール酵母細胞壁由来の農業資材」を水で希釈して潅水したところ、根の生育が飛躍的に向上し、成り疲れの抑制に繋がりました。
また土壌中で還元された二価鉄により、善玉菌の増殖が促進され、植物が健全に生育しました。

根張り良好、生育旺盛に

根張り良好、生育旺盛に根張り良好、生育旺盛に

愛媛県のミカン圃場では、着色促進や浮皮の軽減にも繋がっています。

明らかに着色が促進明らかに着色が促進

浮皮が減少浮皮が減少

2)日本ワイン用の国産ぶどうの収穫量アップ、収穫物の良品率向上 山形県かみのやま市の渡辺畑は、もともと痩せた土壌であり、根が十分に発達し難い環境であったことから、発根を促し樹勢を回復させるために、「ビール酵母細胞壁由来の農業資材」を散布し土壌改良を行ったところ、収穫量が前年に比べ約1.5倍増となりました。

2018年9月(未使用)



樹勢が悪く新梢が少ない

2019年9月(使用)



新梢が成長し
アーケード状に繋がっている


一房あたりの粒数が少ない


粒張りが良く房数も多かった

山梨県の牧丘倉科の畑では、「ビール酵母細胞壁由来の農業資材」を散布し土壌改良を行ったことで、ぶどうの木の免疫力が高まり病気への耐性が強化。白ぶどう品種シャルドネは病害が減り、2019年は前年と比べ腐敗果の廃棄量が6分の1に減少しました。

3)水田跡地や耕作放棄地の活用による農業活性化、食料自給率向上 近年、日本ではお米の需要が減り、稲作の水田を転用して他の作物栽培に活用することが求められています。しかし、水田跡地は水はけが悪く、栽培される作物が限られ、また転用するには大規模な排水対策や数年をかけての土壌作りを行う必要があるため、耕作放棄地になることも多く、課題とされています。
岐阜のJAいび川、有限会社サポートいびでは、 水田跡地に新たな設備投資は行わず、「ビール酵母細胞壁由来の農業資材」を散布したところ、水はけのよい土壌でしか育たないとされるサツマイモの発根が促進され生育がよくなり、栽培に成功しました。
通常より2週間早く収穫され、サツマイモの収穫量も前年の約1.3倍に増えたことが確認できました。

水田跡地や耕作放棄地の活用による農業活性化

水田跡地や耕作放棄地の活用による農業活性化

水田跡地や耕作放棄地の活用による農業活性化

水田跡地や耕作放棄地の活用による農業活性化

4)北海道網走市での陸稲栽培

2021年に、北海道網走市の福田農場と取り組んだ「ビール酵母で育てる畑のお米チャレンジプロジェクト※」では、農場の畑約3a(約100坪)において、「ビール酵母細胞壁由来の農業資材」を活用した陸稲の栽培に成功しました。
このプロジェクトでは、地元の子供たちとともに種まきや稲刈りなどを実施し、地域コミュニティや農業の活性化を目指しています。将来的には、小学校給食に地元生産の米を提供することを目標に、地元関係者の参画を拡げ、陸稲(りくとう)栽培の規模を拡大していこうとしています。
※親子で地域課題に取り組むことで網走での潜在的価値を創出することを目的として、網走青年会議所の事業として2021年に採択されました。4月に網走市内の小学校に親子参加を募り、5月に親子参加による北海道米ななつぼしの稲の種まきを行い活動を開始、7月には栽培エリアの草刈りやドローンでの「ビール酵母細胞壁由来の農業資材」の散布を見学するなど、親子で稲の成長を確認してきました。2021年は天候不順もあり、稲の生育は十分ではありませんでしたが、11月6日に稲の収穫作業を行い、収穫した米は11月28日に親子で炊飯・実食を行いました。

2021年5月 種まき風景2021年5月 種まき風景

2021年9月 陸稲風景2021年9月 陸稲風景

2021年11月 稲刈り風景2021年11月 稲刈り風景

5)稲作の天敵ジャンボタニシによる稲の食害低減 日本のみならず温暖な地域に広く生息するジャンボタニシ(正式名:スクミリンゴガイ、Pomacea canaliculata)は、水稲の特に田植え直後の柔らかい苗を食べることで、甚大な被害を与えます。
近年は温暖化の影響でその生息域を拡げており、全国の米産地で深刻な問題となりつつあります。
JAぎふは2020年、栽培初期の水稲に「ビール酵母細胞壁由来の農業資材」を施用することで、ジャンボタニシによる食害を低減できるかを確認する試験を行いました。
本資材は、根張りの充実だけではなく、鉄の吸収も促します。施用により、よく伸びた水稲の根が、還元された二価鉄を多く吸収した結果、軟体動物であるジャンボタニシは稲を食害しなくなったと考えられます。
「ビール酵母細胞壁由来の農業資材」を施用していない隣接する水田ではジャンボタニシによる食害が2割出たのに対し、この試験区では食害がほとんど観察されなかったことから、本資材の施用による、ジャンボタニシの食害予防効果が期待されます。

肥料原料を使用せず約2割がジャンボタニシに食害された水田ビール酵母細胞壁由来の資材を使用せず
約2割がジャンボタニシに食害された水田

肥料原料を使用し食害被害が抑えられた水田(いずれも2020年9月)ビール酵母細胞壁由来の資材を使用し
食害被害が抑えられた水田

(2020年9月)

ジャンボタニシジャンボタニシ